なにメモ

コンピュータビジョンや機械学習関係の話題を書き綴ると思うブログです。

誕生日プレゼントにハガレン全巻もらったのでハガレンと研究倫理を語る話

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ハガレン全巻

こんにちは、あるふです。

日夜、自分の心で自分の心を作ることに勤しんでいます。

 

今日はkazoo氏に誕生日プレゼントとして、鋼の錬金術師完全版全巻を贈ってもらえたので、鋼の錬金術師(以下、ハガレン)についての思い入れを語ろうと思います。当然ネタバレするので、ハガレンを読んでない人は先にハガレンを読んでください。

 

 

ハガレンと出会ったのはもはやうろ覚えですが、少なくとも連載を開始してからしばらく立った後の話でした。

 

一番最初の「持っていかれた・・・!」のインパクトはすごいものがありました。

その理由が自分の母親を復活させようとしたため、とは。

その頃から私は自分で自分を作ることを考えていたため、主人公へ自分を感情移入していたところがありました。一方で、死んだ人を復活させたいとは特に思ったことはないので、その点が彼らと違うところでした。 

そんな感情移入をさせてくれたハガレンですが、その中で最も印象に残っているのは、ショウ・タッカーのエピソードでした。ショウ・タッカーは人間の言葉を喋られるキメラを作る研究者として世間から認められていました。ただ、その手段は研究倫理に反する行為でした。人間と動物を合成するという禁忌を行っていたのです。その事実を主人公たちは暴きます。

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ショウ・タッカーが自分の娘であるニーナとペットであるアレキサンダーを合成したことを主人公が暴くシーン(鋼の錬金術師完全版1巻より引用)

その後、わけがあって、結局ショウ・タッカーとキメラは他の人に殺されてしまいます。しかし、主人公たちは、その出来事を心に残し、その逆である人間と動物を分離しようと定期的に試みます。ただ、人間と動物を分離することは本編の最後までできませんでした。ちなみにショウ・タッカーの話はハガレンの中核を担う話です。完全版の1巻から出てくるエピソードですが、18巻の最終話まで出てくるので、ハガレンで最も重要なエピソードだと思っています。

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ニーナとアレキサンダーを助けられなかったことを後悔する主人公の弟アルフォンス(鋼の錬金術師完全版18巻より引用)

大いなる力は大いなる​責任が伴う、という言葉で有名なのは同じ漫画のスパイダーマンですね。錬金術は金を生み出すという目的のもと、いろいろなことを試みました。結果として、金を生み出すことはできませんでした。しかし、錬金術で発見した質量保存の法則、作中で言えば、等価交換の原則は化学のベースとなりました。質量保存の法則は化学を含む自然科学のベースにもなっています。このように我々は錬金術を通じて核融合やゲノム編集などの大いなる力を発見することができるようになりました。その一方で、研究倫理といった大いなる責任を追わなければならないと感じています。核融合水素爆弾を生み出し、一時期は世界のすべてを焼き払うほどの軍事力を世界が持ちました。ゲノム編集の使い方をあやまれば、変な生物を作ることができ、我々の生態系を破壊しつく存在を生みかねないことになっています。(まぁゲノム編集をちゃんと理解していないので言いすぎかもしれませんが)

かくいう私もロボットが自分で自分を制御できるようになるフレームワークを開発しています。ただそのフレームワークはもちろん人間を思いやる心に基づいて作られているため、幸い暴走することはないでしょう。せいぜいおせっかいな存在ができるだけです。しかし、この技術を転用すれば、自律的に人間を殺戮するロボットを容易に作り出すことができます。正直ぱっと思いつきます。それをしないのはまさに研究倫理を遵守する心なのだと思います。

これからおそらく指数関数的に技術は発展していきます。私が高校生の時にできるわけがないとバカにしていたユビキタス・コンピューティングやウェアラブル・コンピュータはたった10年でそれぞれIoTとスマートフォンという形ですでに常識のものとなりました。AI用チップがAIによって作られる時代にもなってきています。私の研究を支える世界観も現段階では夢物語の領域を出ませんが、時代の流れが求めれば一気に現実の問題として出てくるのでしょう。だからこそ、今の段階から研究倫理に反していないかを自分だけではなく、第三者委員会である倫理審査委員会にはかり、自分の研究が研究倫理に反していないか第三者によるチェックを常に行っていくことを心がけています。また、周りにも啓蒙活動を続けています。

倫理とは時代移ろうものですが、少なくとも人道に反することをしないように常に心がけたいと思います。また、それを守りながら、自分の心を理解するために自分の心を作りたいとおもいます。この試みがやがて世界の現状より良くする大きな流れの一部となれば、研究者人生、冥利に尽きるというものです。自分の研究がニュートンの言う巨人の一部となるように日々邁進したいと思います。

 

話は以上です。

お読みいただきありがとうございました。